Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 95

ページ: 95

翻刻

加護(かご)を求(もと)め給へども。猶(なほ)種々(さま〴〵)の怪異(けい)ありしかば。将軍(せうぐん)御意(みこゝろ)を悩(なやま)し給ひ。 兎角(とかく)に遁世(とんせい)の御意(みこゝろ)まし〳〵。遠(とを)からず将軍(しやうぐん)を辞(じ)し遁(のが)れ。御故郷(おんふるさと)都(みやこ)に 隠栖(いんせい)なし。自(おのづか)らなる月花(つきはな)を楽(たの)しみ給はん臆念(おくねん)にて。東国(とうごく)の名残(なごり)も此春(このはる) ばかりと。巡見(じゆんけん)を催(もをふ)【もよふヵ】し給ふとぞ。先(まづ)鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)に参詣(さんけい)あり。天下安全(てんかあんせん)の御(ご) 丹誠(たんせい)まし〳〵。猶(なほ)風色(ふうしよく)を御覧(ごらん)あるに。後(うしろ)は峨々(がゝ)たる鎌倉山(かまくらやま)。松樹(せうじゆ)深々(しん〳〵)として昏(くれ)を 過(あやま)り。前(まへ)には由井(ゆゐ)の浜/塩(しほ)の干潟(ひかた)に蜑人少女(あまをとめ)。玉藻(たまも)ひろひつ磯菜(いそな)つむ容(さま)。 只(たゞ)写(うつ)し絵(ゑ)を見るがごとく。過難(すきがて)にこそ思召(おぼしめす)なれ。夫(それ)より所々(しよ〳〵)を廻覧(みめぐり)し給ふ。その 日(ひ)も金烏(きんう)西山(せいざん)に舂(うすつ)き。晩鐘(ばんしやう)黄昏(くはうこん)を告(つぐ)る程(ほど)に。御輿(みこし)を早(はや)めて御帰館(ごきくわん) を急(いそ)ぎ。腰越村(こしごへむら)をすぎて。行合川(ゆきあひがは)を越(こ)させんとするに。所(ところ)の荘官(せうや)及(およ)び 役人(やくにん)。御列(おれつ)の先手(さきて)へ申やう。只今(たゞいま)この川上(かはかみ)音無(おとなし)の滝(たき)に。非常(ひじやう)の穢(けが)れ出来(いできたり) たれば。御通行(ごつうこう)いかゞ候(さふら)はんと言上(ごんしやう)なせしかば。御先手(おさきて)より時頼(ときより)に伺(うかゞ)ふ。時頼/則(すなはち) 荘官(さうや)どもを馬前(ばせん)に召(めさ)れ。其子細(そのしさい)を尋(たづぬ)るに。阿曽氏(あそうぢ)が事(こと)より。正覚坊(せかくばう)が