翻刻
【右丁】
故に生糸にてもよく湯煮をして用ゆるなり又米ぬかの
絞出しにて右糸煮るもよきなり只捻の戻らぬために
煮る事なりからみ糸は成たけ細きを用ゆ太き時は絵貫
之上をしめて織かくすなり又絵貫太くすれはからみ
糸少し太めにても不苦織方も手安すし
一大凡の仕立を記す筬替る時は糸数を改むへし筬幅八
寸六分此にて織幅耳ともに八寸になるなり筬幅一寸
に付七十枚立にて二十二よみ半此目数九百目宛あり但し
耳糸ともあや取木ばた掛内八寸六分一枚糸の数九
百筋三枚【注①】ふぐせ糸数同し十二枚【注②】是にからみ糸一目
一本宛入る故からみ竪九百筋是を綾取二枚に掛る
故からみ綾取は一枚四百五十本宛也取立の時伏機弓
四挺にして二本の弓は地竪のふくせに附二本の弓は
【左丁】
からみのふぐせに付木ばたはろくろ一本にて綾取二枚
附なり
一絵貫糸は捻のなきを良とす若/捻(より)たる糸を合せる時
は細き糸を沢山合せて掛る積りよし
一地竪白茶色の時は絵貫惣紋黒にして色さし浅黄
紫濃き繭【注③】黄子種色なと飛々には金糸か又は平金
箔もよし
一地色花色の時は絵貫白茶之惣紋にして色さし
鳶子種黄白糸の縁り真なとよし金糸のかわりに色
濃き金茶の糸なともよきなり
一地竪は常の通り下の𣚗(をまき)に巻きからみの竪糸は別に
上に巻なり但向は低くとも中程にてからみ竪は常に
口のあくほど揚て置なり
【注① NDLの翻刻本には「三」に「二」の傍記あり。「三」は「二」の誤の意ヵ】
【注② NDLの翻刻本には「十」に「マヽ」の傍記あり。「十」衍の意ヵ】
【注③ 「繭」は「萌」の誤ヵ。NDLの翻刻本には「繭」に「萌」の傍記あり】