翻刻
【右丁】
ざるにあらす
一糸製方は油をぬきたる毛を綿打にて打/如綿(わたのことく)に
して綿引車にて木綿糸の如く引き糸に取り白
湯にてゆでしづむまでゆてる也此加減と知るべし
巻返して干てがくでん【注①】の糊を付機に延織る織こ【注②】
て唐土にて煮其上をぬるまゆにてもみ幾返も毛の
出る迄揉なりしめりぬれたるまゝの所を張り置て明松
にて毛を焼又湯にて揉なり揉めは毛出る《割書:がくでんは煮立て|直に引なり》
一筬は一寸三十七枚四十位まての筬に一目へ竪糸一本入る
竪は諸捻(もろより)也尤細きほどよし横糸は片捻(かたより)なり綾取
は絹糸也横一寸に五十四五より六十位織る也
一毛を木綿糸の如く引出に篠巻(しのまき)にしては悪し只おさ
へて引也村の不出様に上手に引べきなり尚口伝あり
【左丁】
夏袴地織方《割書:今云仙台平川越平|精好平の類なり》
一筬幅一尺又一尺一寸位羽数耳ともに二十一よみにて
八百四十なり綾取四枚ひとへつがいへ通す通方一三
二四糸組は生糸煉糸打交にさすなり
一生糸にて染る竪は至て細し蚕七ッ附又八ッ附位を二
本捻りにてよし筬一目へ二本つゝ入
一/縞(しま)は煉糸にて一本四本捻にして四ッ入なり是は𥿻の
あつさに依て好にまかせて太細あり
一耳糸しまさし三本つゝ引揃六本入位なり
一竪糸筬二本宛入る也右横糸は奥州糸にて蚕十前
後附る七八本又は十本位生糸にて染引揃て織る也
但織出し其𥿻の地合を見て横糸は太(ふと)細好次第に
すべし横糸引揃/篗(わく)に繰(く)りぬるき湯にて浸し能く
【注① NDLの翻刻本の「がくでん」の注に「(かくてん)角寒天(かくかんてん)を略して角天といふ。恐らくこのものならん」とある】
【注② NDLの翻刻本には「こ」に「上」の傍記あり】