翻刻
【右丁】
来冬袴地は琥珀縞也丹後も同し
一又如夏袴筬一目へ二本宛入縞糸も地糸も同し太さ
にして二本つゝ引揃て惣練糸にて冬袴地を織るなり
布織方
一麻をうみ紡(つむき)てかせにした【注①】を経て筬一目へ一本つゝ通し
ふのりを付る糊を引には藁たわしにて両方共に能揉
やはらけふのりをしみ込せ布の上より掛布の下より手にて
押すごくなり能付少/乾(ほし)櫛(くし)にてとかし巻ふのりは糸の
ひるくみ毛ばをおさに【注②】付筬のあるきよくする為なり
一糊を引時は長く延置き糊をして天日にて干なから
𣚗へ巻なり
一飾り糸は一本置に懸る也筬は一目さし故織上りは木【注③】
木綿とは違ひ畳の表の如くに出来る也飾糸とはかち【注④】を
【左丁】
の事なり綾は平綾なり
一布/晒(さらし)方/藁灰(わらはい)の灰水をざる漉にして清(すま)し其侭直に
釜の中へ入布を煎なり煮方は暮時より夜四ッ頃迄も
とくと煎其侭翌朝まて置翌朝布を引上臼の中へ
入差渡三寸程の手杵にて四人舂に突なり尤木の
臼にてつく米或は餅なとつく程に強くは突かす好き
ほとを見て舂しるを洗濯きぬく如此にする事五
返程舂しるはすゝき出し突くへし布は浄水にて濁の
水の出さる程にとくと突き洗ひぬくなり右の布を天
日にて乾なり但し河原又は草の上へ引延て干し又土
の上にてもよし晴日に干乾は浄水を吹水の如くに村
なく水を打ほうきにて打てもよく乾くは水打事一日
の内に凡十返程打干上るなり右の如く干上布にし
【注① 「る」脱で「したる」ヵ。NDLの翻刻本には「たを」の間に「る」の傍記あり】
【注② 「に」は「へ」の擦れヵ。NDLの翻刻本には「に」に「へ」の傍記あり】
【注③ 「木」1個衍ヵ。NDLの翻刻本には「木」に「マヽ」の傍記あり】
【注④ 「ち」は「け」の誤ヵ。「掛緒」ヵ。NDLの翻刻本には「ち」に「け」の傍記あり】