翻刻
【右丁】
左の下段と組む事なり尤糸に手を多く付れは光沢(つや)
悪(あ)しくなる又さけたる玉に長短な【注】れは糸の占に不同
あり玉より糸を延べ出時に不引様にすべし大慨向の
𣚗(いとまき)より組たる所五六寸になれは向へ巻附可組なりあまり
に組前の方へ組つむれは糸に村出るものなり組終て
畳(たゝ)み搾(しめ)木に挟(はさ)みくさびを打て十日程置べし尤初
に板の上に組たる糸を置てころはしを懸て後搾木
に懸(かけ)占に口伝あり
一搾木は二寸の厚の板長さ二尺五寸位/幅(はゞ)六寸計り上下
二枚にして二寸位の柱(はしら)を二本内のり一尺二三寸にして左
右へ立其柱の中に穴を明け貫(ぬき)を通し上の板をさけ糸を
挟(はさ)みて貫の上に柱の穴へくさびを打置なり
右は組糸の伝法なり組糸の種類(しゆるい)数多(あまた)ありといへ
【左丁】
とも手数の業(わさ)に至ては前文に記(しるす)の外なし唯其
糸の彩色の替(かは)るのみにして自(をのつ)から糸の組方も
違(ちが)ふ様に見ゆることなり此組方を知る時は其
模様(もやう)を組出に工夫(くふう)せは自然(しぜん)と成就す古代の
太刀の上帯に桐の紋を組(くみ)にしたるもあり又近
世の物に様々の紋を出たる組糸あり皆組方之
業両表亀甲片表/亀甲(きつかう)貝(かい)の口の手数に不過(すぎさる)
也只其糸の出る所を窮理(きうり)せば新製(しんせい)の工夫又
古代の物を模写(もしや)するに自在(じざい)なりと知るへし此
所/筆記(ひつき)に不及(をよばす)是以て口伝に残(のこ)す平組糸の
伝終る
紃糸(まるくみいと)之部《割書:俗まる打と云》
源氏打《割書:又揺打或は鷹(たか)の羽打又は亀甲(きつかう)とも云》
【注 NDLの翻刻本には「な」に「あ」の傍記あり】