翻刻
叶ころひ倒れ或大もく念仏観音経等と高らか
によみ小児女子年寄は只今世界めいきやくす
ると大声上てなき悲しむ声江戸中也物落う
たれて即死するも有怪我する人は何千人といふ
事を知らす家居の潰れたるに押□に死す
るも多し此節地割人落死せし等と風聞した
れ共是は虚説なり御条の水川端馬場迠
之間地割て此広さ壱間計にふかさ七八尺に長
八九間程ツヽ割たり是川之方ふかき故割たる也常
之地われる物にあらす後の人よく〳〵心得へし
なん燈は皆油をゆりこほしきへるなりてんちん
すはやく燈すへし木にとらまるゝ下に居て
いへし家も急につふれる物にはあらす暫くゆり
て柱の貫ほそなと折て後家は倒れる物そかし
家をあわて出へからす怪我をせぬ様に静に出
し戸は早く明るかよし家敷つみては戸明ぬもの也
此節西丸下にて屋形〳〵みちんに倒ける其
屋敷〳〵は大久保隠岐守阿部豊後守加藤越中
守稲葉丹波守柳生備前守外桜田には永井伊
賀守酒井石見守同壱岐守日比谷御門の内青
山播磨守松平下野守戸田能登守土屋相模守
同山城守秋元但馬守井上大和守松平右京大夫松
平美濃守小笠原佐渡守築地辺には石川監物五
嶋兵部松平藤十郎其外数〳〵有之といへとも銘々
に其記さす此分家倒押に打れて死する人凡千
人に及惣御門見附〳〵は大手桔梗御門辰口御門
は