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【右丁】
呉(くれ)候故みな〳〵互(たがひ)に心落(こゝろおち)つき翌(よく)廿二日よりハ米の食(めし)《割書:但し□|ハ日本》
《割書:籾(もみ)ずりのごとく至(いたつ)て風味(ふうみ)あしく|只(たゞ)ばら〳〵として米(こめ)のあじハなし》菜(さい)は茄子(なすび)瓜(うり)梅菜(むめな)せり竹子(たけのこ)
等(とう)の塩漬(しほつけ)なり𩵋(うを)ハ赤(あか)ゑい沢山(たくさん)にあり其外川𩵋多し
獣(けだもの)ハ猪(ふた)平生食する也鳥は鴨(かも)鶏(にはとり)鶩(あひる)なり一度ハ塩漬(しほつけ)の青(あを)
物(もの)両度ハ𩵋(うを)鳥(とり)猪(ぶた)の類(るい)料理(りやうり)に出(いだ)しことの外 深節(しんせつ)に取(とり)
扱(あつかひ)申事日本より何程といふ里数(りすう)ハいまだきうずといへど
國政(こくせい)のよろしき所と見へ物事行届 彼是(かれこれ)此地に十二月
十六日まで逗留(とうりう)の内 隣家(りんか)に八十ばかりの翁(をやじ)あり日々 杖(つえ)を
つき被来(きたられ)廿日ばかりの馴染(なじみ)に海(うみ)やまの情(なさけ)をのべ近々(きん〳〵)王城へ
【左丁】
至(いたり)候ハヾ早々(さふ〳〵)日本へ帰帆(きはん)の願(ねが)ひを出(いだ)すべしとくれ〳〵も申付此
地 出舩(しゆつせん)のせつなどハ杖(つえ)をつき一二町も送(おく)り来(きた)り涙(なみだ)を流(なが)し
別(わか)れ帰(かへ)りけり老人(ろうじん)の真実(しんじつ)互(たがい)に胸(むね)にせまりて折々(をり〳〵)申あへり
十二月十五日王城の官人(やくにん)幷に醫者(いしや)通詞(つうじ)不残川舟に乗(のり)《割書:但|し》
《割書:此間川舟上りなり舟路(ふなぢ)五日斗也尤 官人(やくにん)は王城より|きたられ候よしなり逗留中(とうりうちう)通達(つうだつ)これあり候 趣(おもむき)なり》同舩(とうせん)に乗入(のりいり)十二月
廿日王城 川口(かハぐち)へ着(つき)にける
風土
嶌山(かうざん)雲(くも)に聳(そびへ)て樹木(じゆもく)多(おゝ)く水 清(きよ)くして大川(だいか)あり海(うみ)