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【右丁】
方(ほう)に巡(めく)りて阿蘭陀(おらんだ)廣東(かんとう)阿媽港(あまかハ)舩(ふね)其外 諸国(しよこく)の商(あきなひ)舩川
口に碇(いかり)をおろし交易(こうゑき)繁華(はんくハ)の地(ち)にて漁村(ぎよそん)濱(はま)にあれハ
猟師(りやうし)山を挊(かせ)ぎ鳥獣(てうしゆう)数多(あまた)市(いち)にいだす川魚(かハうを)沢山(たくさん)にあつ
て海(うみ)𩵋(うを)にハ赤鱏(あかゑい)多(おゝ)し青物(あをもの)年中(ねんちう)畑(はたけ)に熟(しゆく)し大木(たいぼく)小(しやう)
木(ぼく)菓(このミ)を結(むす)べは食用(しよくよう)を助(たす)け竹(たけ)のふしあい未曾有(みそうの)物を生
じ金銀(きんぎん)潤沢(じゆんたく)にして銅(あかゝね)も廣東(かんとう)より渡(わた)り八木(はちぼく)年(とし)に三
度 熟(じゆく)し大豆(だいづ)小豆(しやうづ)是(これ)に同(おな)じ下賤(げせん)に飢餲(きゝん)の煩(わづらひ)なく
国風(こくふう)実氣(じつぎ)ありて情(なさけ)深(ふか)し国王(こくわう)仁政(しんせい)を厚(あつく)し民(たミ)に
艱苦(かんく)の障(さわ)りなく只(たゞ)南海(なんかい)の果(はて)にて嶋国(しまくに)多(おゝ)き故(ゆへ)に不
【左丁】
時(じ)に合戦(いくさ)の備(そな)へ怠(をこた)ることなし平生(へいせい)軍器(ぐんき)の調練(てうれん)止事(やむこと)
なく去(さんぬ)る景興(けいこう)五十四年四月より西山國(さいさんこく)王城(わうじやう)にそむき
征伐(せいばつ)始(はじま)るといへども未(いまだ)勝配(しやうはい)わかたず當時(いま)に至(いたり)ておい〳〵
舩軍(ふないくさ)の用意(よふい)頻(しきり)にして過半(くわはん)彼国(かのくに)へ趣(をもむき)し事ハ巻(くハん)の末(すへ)
に記(しる)せり
南漂記巻之一終