翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 27

ページ: 27

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【右丁】 本堂(ほんどう)へ双(なら)び方丈 輪蔵(りんぞう)有《割書:一切經(いつさいきやう)|蔵(ぞう)なり》辰巳(たつみ)隅(すみ)に浴室(よくしつ)在(あり)北へ續(つゝき) て寮(りやう)あり本堂の後(うしろ)に座禅堂(ざぜんどう)あり佛殿(ぶつでん)の正面に本尊(本尊)観(くわん) 音(をん)金佛(かなぶつ)にて左右(さゆう)脇士(わきし)あり佛殿(ぶつでん)の北に国王(こくわう)代々(だい〳〵)の位牌(いはい) あり又南の方にハ當寺(とうじ)開山(かいさん)よりの繪像(ゑそう)をかけ別間(べつま)に如(によ) 意輪観音(いりんくわんをん)の御厨子(みずし)あり法雨(ほうう)和尚(おしやう)認(したゝめ)られし観音の写(うつし)《割書:奥に|くハし》 扠六人の漂流(ひやうりう)人相 果(はて)けるハ時日(じじつ)も同じからず其時々(そのとき〳〵)王 城 官人(やくにん)へ届(とゞ)け永長寺へ葬禮(そふれい)なせし道筋(みちすじ)ハいつも同じ 街道(かいどう)なり官人(やくにん)より国法(こくほう)の通(とふり)葬礼(そふれい)義式(ぎしき)さし圖(づ)にて尚(なを) 官人も上下三四十人 宛(ヅヽ)も出役(しゆつやく)致(いた)され残(のこ)りし十人のものハ 【左丁】 いづれも供(とも)を致(いた)せしが永長寺まで大方(をゝかた)町續(まちつゞき)にて 葬禮(そうれい)通(とをり)候せつハ老若(ろうにやく)男女(なんによ)家々(いへ〳〵)より立いで棺(くわん)を拜(をが)み 涙(なみだ)をこぼし我一(われいち)と線香(せんこう)焼香(せうかう)菓子(くハしの)類(るい)を持出(もちいて)右の品 を我々(われ〳〵)へ送(をく)り候ことなか〳〵殊勝(しゆせう)なる事 言語(ことバ)にのべがたし 程(ほど)なく永長寺の門内(もんない)へ入バ鼠衣(ねつもころも)の僧(そう)五六人 案内(あんない)にて本 堂へかき上(あげ)させ法雨(ほうう)和尚(をせう)出座(しゆつざ)あれバ同音に御 經(きやう)はじま り良時(やゝとき)うつり御 經(きやう)済(すめ)ば木(もく)𩵋(ぎよ)にて念仏(ねんぶつ)あり其後(そののち)方丈 後(うしろ)の方の墓所(はかしよ)へ男三人にてかたげ行(ゆき)棺(くわん)を墓所へ葬(ほふむり)けり 《割書:但し棺(くわん)ハ檜(ひのき)栗(くり)などにて厚(あつ)さ三寸斗シテ有木なり不残(のこらず)アリスしくハし内外(うちそと)|丁寧(ていねい)にけづり四方にチヤンを流(なが)し臥(ふし)候 儘(まゝ)納(をさ)め二人三かたげかたげゆくなり》