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【右丁】
連(つれ)のものへも気(き)を持(もた)せ四五人の国人(くにひと)をさん〳〵に■なしけ
れバ外(ほか)けんぶつの国人(くにひと)まであきれかへりし顔付(かほつき)ハ心(こゝろ)よきこ
とたとへがたし其後(そのゝち)は何方(いつかた)へ行(ゆき)候ても指(ゆび)ざしするものも
なく日本〳〵とおぢ恐(をそ)れ候 趣(をもむき)なり此 沙汰(さた)官人衆(やくにんしゆ)へも聞(きこ)へ
しにや上(かみ)より城下(じやうか)のはし〴〵までも觸(ふれ)にてもまわりしか
少(すこ)しも国人(くにひと)構(かま)ひ申さず候と異国(いこく)に有候内これほど
面白(おもしろ)きこともなく一興(いつけふ)にぞありけりまた或時(あるとき)となりの
酒屋(さかや)にてたわむれごとごとに腕(うで)をしをなしけるが此 亭主(ていしゆ)甚(はなハだ)
上手(じやうず)にて連(つれ)のものハ一人も勝事(かつこと)できず小太良いろ〳〵工夫(くふう)を
【左丁】
なし始(はじめ)壱度にものゝ見事(みごと)に勝(かち)けれハ大(をゝ)きに我折(かをり)し也
尤(もつとも)腕(うて)をしハ机(つくへ)の上(うへ)にてすることなり又此家(このや)酒(さけ)商賣(しゆはい)な
れバ蔵(くら)にハ俵物(ひやうもの)多(をゝ)くみへ候ゆへ裏(うら)へ出(いで)て二三俵 取(とり)いだし
米弐俵(こめにひやう)を丁になし差上げ又はかたに弐俵をのせ
心(こゝろ)よく歩行(あるき)いろ〳〵と曲持(きよくもち)なしけるにぞ家内(かない)近所(きんじよ)の
ものまでも見物(けんぶつ)に来(きた)りあきるゝこと大力(だいりき)の角力(すまふ)とりの
ごとく評判(ひようばん)なしけり《割書:此国 角力(すもふ)といふことなく又 肉食(にくじき)なせども|いたりて力(ちから)なし五六斗入の俵を二三人に》
《割書:てもち|行なり》又逗留(とふりう)中に阿媽港舩(あまかわぶね)の水主(かこ)ども日々(にち〳〵)此町へ
鶪鶏(とうまる)のごとき大(をゝ)きなる鶏(にハとり)を持歩行(もちあるき)国人と何角(なにか)はなし