翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 43

ページ: 43

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【右丁】 じぶんに鍋(なべ)をのけさまし置酒の肴(さかな)又は飯(めし)のさいに遣(つか) ふこと目(め)も當(あて)られぬことどもなりぬたさしみには生(なま)にて 遣ふこと始(はしめ)て見(み)し時(とき)ハ一口(ひとくち)も喰(た)べ候ものにてハなし羊(ひつじ)野牛(やぎう) なども大躰(たいてい)ハ斯(かく)のごとし鶩(あひる)鶏(にハとり)も生(なま)にて血(ち)をしぼり 又ハ羽(は)がいともくゝり候て煑湯(にへゆ)へ打込(うちこみ)引上(ひきあげ)候てハ毛(け)をとり 種々(しゆ〴〵)の料理方(りやうりかた)家々(いへ〳〵)にてこしらへ打(うち)より給物(たべもの)になし女(をんな) 子共(こども)も食(しよく)することハけしからぬことに思ひくらしけるが 追々(をひ〳〵)此事もニなれ喰(くひ)なれ候へバさしてふしぎにもなく 只(たゞ)珍客(ちんきやく)などへハぶたひつじ野牛(やぎう)の首(くび)を打落(うちおと)しそのまゝ 【左丁】 首(くび)ばかりを卓机(つくゑ)の上(うへ)に直(なを)し其外(そのほか)の𩵋肉(ぎよにく)鳥(とり)青物(あをもの)みな油(あぶら) 揚(あげ)にせしをならべたて振舞(ふるまふ)こと貴人(きにん)を招(まね)く料理(りやうり)にており ふしハ此事にも付合(つきあい)けりまた或時(あるとき)ハ四五人 連(つれ)にて城下(じやうか) の町(まち)をはなれなくさみに出(いで)しに若(わか)き男(おとこ)の勢(きぼ)ひ組(ぐみ)とも 言(いふ)べき者(もの)五六人つか〳〵とはしりより此方どもの前(まへ)をまく り尻(しり)をまくり候ゆへ至(いたり)て小太郎ハ健気者(げんきもの)なれバ腹(はら)を立(たて)て 一人の男の片手(かたて)を握(にぎ)り引(ひき)つかみさし上(あげ)て大 道(どう)へ投(なげ)付れバ のこり四五人 一度(いちど)にかゝるをことともせず仙臺(せんだい)生(うま)れの舩方(ふなかた) にて腕(うで)まへハ達者(たつしや)なり彼等(かれら)に負(まけ)てハ日本の恥(はぢ)なりとて