翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 66

ページ: 66

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【右丁】 へハ遣しがたし幸(さいわい)此度 阿媽港(あまかわ)の商舟(あきなひふね)四五日中に出帆(しゆつほ)の よし国王より得与(とくと)申 渡(わた)し置(をき)候へバ心置(こゝろをき)なく此(この)舟(ふね)に乗(のり) 夫々(それ〳〵)の国續(くにつゞき)より頓(やが)て日本へ帰帆(きはん)なすべし国の名残(なごり)も 今(いま)しばし何角(なにか)と調度(てうど)取揃(とりそろ)へ相待(あいまつ)べし其外何にても 用㕝(ようじ)あらバ官人(やくにん)をもつて可申と残所(のこるところ)なく上意(しやうい)のおも むき通辞(つうじ)より申聞候上国王へ御 暇乞(いとまこひ)なすべしと差圖(さしづ) にしたがひ去霜月より国王の深(ふか)さ恵(めぐ)みに預(あづか)りしこと とも皆々(みな〳〵)かしらを下(さ)げ一禮(いちれい)をのべ王子方 上官人(うハやくにん)へもそ れ〳〵に拝礼(はいれい)なし宿所(しゆくしよ)へ帰(かへ)り再(ふたゝ)び日本へ帰帆(きはん)の時(とき)至(いた)れり 【左丁】 と互(たがひ)に足(あし)のふみどを忘(わす)れ出舟(しゆつせん)の日を待(まち)にける斯(かく)て是(これ) まで逗留中(とうりうちう)心安(こゝろやす)くせし近所(きんしよ)となりハ云(いふ)に及(をよバ)ず一二町 へだゝりし所の人々(ひと〴〵)まで此こと聞傳(きゝつた)へわれも〳〵と入きた り名残(なごり)をおしみ候こと又ハ舩路(ふなち)の用意(よふい)とて服薬(ふくやく)気付(きつけ) あるひハ水(みづ)の替(かハ)りに用る薬(くすり)其外 煉薬(ねりやく)丸子(ぐハんじ)風薬 膏薬(かうやく) 血とめ菓子(くハし)類(るい)漬物(つけもの)火打(ひうち)かねはな紙(がみ)扇(あふぎ)筆(ふで)多葉粉(たばこ)幼(おさ) 子共(なきこ)までか国繪(くにゑ)など持来(もちきた)る事 甚(はなハ)だ殊勝(しゆしやう)なり折節(おりふし)日々(にち〳〵) 心(こゝろ)やすくせしとなりの姥母(ろうぼ)酒肴(さけさかな)をたづさへ来(きた)り此方どもの 胸(むね)をなで其後(そのゝち)自分(じぶん)の胸(むね)をたゝき心(こゝろ)にあまる躰(てい)をなし