翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 86

ページ: 86

翻刻

【右丁】 儘(まゝ)田(た)の畦(あぜ)山の傍(かたはら)へ持行(もちゆき)上に莚(むしろ)こもの類をかけ捨置(すてをき)帰(かへ) るなり上官(しよしがた)中官(かちう)抔(など)の蔵は一ケ所 別(べつ)にありと委敷(くわしく)物(もの) 語(かたり)を聞(きゝ)国風(こくふう)の異事(ことなる)にあきれけり     祭禮 廣東(かんとう)城下の祭礼(さいれい)は例年(れいねん)八月六日より同九日まで四日 の間なりも尤三里四方の土地(とち)にて年々(ねん〳〵)神㕝町(じんじまち)とて三四 十町ツヽ廻(まは)るなり凡十二年目に一度ツヽに當(あた)る由(よし)折(をり)ふし 旅宿(りよしゆく)近邊(きんへん)當年神㕝 番(ばん)にてはからずも祭礼(さいれい)に合(あい)し 【左丁】 ことその仰山(きやうさん)なるあらましをいへば町々(まち〳〵)家毎(いへごと)に商賣(しやうばい)の 品(しな)を片付(かたつけ)四日の内は賣買(うりかい)を休(やす)み銘々(めい〳〵)表(おもて)より裏(うら)まで 残(のこ)る所なくきれいに掃除(そうじ)をなし表柱(おもてはしら)は毛氈(もうせん)猩々(せい〳〵) 緋(ひ)あるひは緞子(とんす)の類(るい)にて巻(まき)たて店(みせ)は三方とも上 より下まで硝子(びいどろ)のすだれに種々(しゆ〳〵)の花鳥(くわてう)の繪書(ゑがき)し をかけ千歳(せんざい)の見こみに至(いた)るまで玉細工(たまさいく)硝子(びいどろ)細工(さいく)のつ くりものあり大道(だいどう)には両方より綱(つな)を渡(わた)し一町 限(かぎ) りに数(かず)五百斗も灯燈(ちやうちん)を釣(つり)其上 大家(たいか)には瑠璃(るり)燈(とう) 百五十あるひは弐百ばかりも店(みせ)より奥(おく)まで釣(つり)ならべ ()()