翻刻
【右丁】
子則母飛来煎食甚辛而美
綱目訳説曰和産なし銭の一名青蚨と云此名を仮るなり
一種の蛾あり秋分の比多し昼飛はず夜燈に来らず草木
の葉にとり付て飲まず食せず数日動かず其虫捕得見るに腹下葉
而に綿を綴るか如く大さ虫の身に均し其綿を払へば卵あり数
百相集りて蝦(えび)の卵の如し土黄色の者あり白色の者あり其形状
よく蝉に似たり其卵生するときは去てみ見へず其子黄赤色毛あり初
めは数百相集りて糸を吐き葉を綴る秋深ふして木葉白くして
尽く虫の大さ三四分黒毛あり霜降に至て木の根土中塵芥の
間に伏す春雨水の比より草葉にとり付食ふ三月末に至て二
寸余黒毛班身の毛虫となる此蛾子を愛するの深きこと青蚨に
【左丁】
似り形状卵