翻刻
【右丁】
【上段】
御 貝桶(かいおけ)は和泉(いつみの)守さま
御 長刀(なきなた)幷(ならひに)御 挟箱(はさみはこ)は
摂津守(せつつのかみ)様 御(おん)奥(おく)さま
より進(しん)ぜられ候 伊(い)
賀守(がのかみ)様より伊勢(いせ)
物語(ものがたり)の御 文箱([ふは]こ)志摩(しまの)
守(かみ)様よりは油単(ゆたん)と
して純子(とんす)【注】二十 巻(まき)
雨油単(あまゆたん)として尾張(をはり)
名古屋絹(なこやきぬ)百端(ひやくたん)参(まひ)
り候 御紋縫(こもんぬひ)ふせは御
【下段】
へし又我おやさとのよき事
をほこりてほめかたるへからす
一 下部 数多(あまた)召(めし)仕《割書:共》万事自
辛労(しんろう)を忍(しのひ)て勤(つとむる)事女の作法(さほう)
なり嫜(しうと〳〵め)の為 ̄ニ衣(きぬ)をぬい食(しよく)を調(とゝのへ)
夫に仕て衣(きぬ)を畳(たゝみ)席(しきもの)を掃子
を育(そだて)汚(けかれ)を洗(あらい)常(つね)に家の内に
【左丁】
【上段】
出入(ていり)の参河(みかは)屋へ仰
付(つけ)られ候 遠江(とをとみの)守さま
御 奥(おく)さまより色(いろ)
縮緬(ちりめん)五十 巻(まき)駿河(するかの)
守(かみ)様より蚊帳(かちやう)
【下段】
居 ̄て みたりに外へいつへからす
一下女を遣に心を用ゆべし
言がひなき下 臈(らう)は習し悪
てちゑなく心かたましくもの言
事さかなし夫の事嫜こしうとめ
笑事なとわか心 ̄ニ合ぬ事有は
猥(みたり) ̄ニ謗(そしり)聞(きか)せてそれを却而(かへつて)君(きみ)の
【注 どんすは普通「緞子」「鈍子」と表記されますので、この字は扁か旁かどちらかを書き間違えたものと思われます。箪笥の数詞は巻とは言いませんしね。】