翻刻
【右丁】
【上段】
嫁(とつき)文章(ぶんしやう)
一筆(ひとふで)申入(まうしいれ)まいらせ候
そもじ さま(さま)御縁(ごえん)
組(ぐみ)極(きはま)り候(さふらふ)てよ所(そ)へ
越給(こしたま)ふよし誠(まこと)に
目出(めで)たふ幾千年(いくちとせ)
色(いろ)もかはらぬ常(とき)
盤木(はぎ)の枝(えだ)をつらぬ
る御契(おんちきり)と祝(いはひ)まいらせ候
申までは候はねども
身持(みもち)正(たゞ)しくこゝろ
【下段】
の家(いへ)に行(ゆき)て必(かならす)気随(きづい)にて夫(をつと)
に疎(うと)まれ又(また)は舅(しうと)の誨(をしへ)正(たゞ)しけ
れは難(かたく)_レ堪(たへ)おもひ舅(しうと)を恨(うらみ )誹(そしり)
中(なか)あしく成(なり)て終(つい)には追出(をいいだ)され
恥(はぢ)をさらす女子(によし)の父母(ふほ)わが
訓(をしへ)なき事(こと)をいわずして舅(しうと )夫(をつと)
のあしきと而已(のみ)思ふは誤(あやま[り])なり
【左丁】
【上段】
おとなしくさゞれ
石(いし)の巌(いはほ)となりて
苔(こけ)のむすまで繁(はん)
昌(じやう)して孫(まご)子(こ)の末々(すへ〴〵)
まで御栄(さかえ)候やうにと
うちねがひ候まゝ
筆(ふで)にまかせて申
上(あげ)まいらせ候
第一(だいいち)慈悲(じひ)ふかく
人(ひと)を憐(あはれ)み虫けだ
ものゝ上迄(うへまで)も露(つゆ)の
【下段】
是皆(これみな)女子(によし)の親(をや)の教(をしへ)なき故(ゆへ)也
一 女(をんな)は容(かたち)よりも心(こゝろ)の勝(まされる)を善(よし)と
すべし心(こゝろ)ばへ無美(よしなき)女は心 騒(さはがし)く
眼(まなこ)恐(をそろ)しく見(み)出(いだし)て人(ひと)を怒(いかり)言(こと)
葉(ば)訇(あららか)に物(もの)いひさがなく口(くち)きゝて
人に先(さき)だち人を恨(うらみ)ねたみ
我身(わがみ)にほこり人を謗(そしり)笑(わら)