翻刻
【右丁】
【上段】
悪(あし)きさまに名を
立(たて)後(のち)に逃(にげ)うせる
ものにて候 或(ある)哥(うた)に
みよしのゝなつみの
川の河淀(かはよど)に鴨(かも)ぞ
鳴(なく)なる山蔭(やまかけ)にして
芳野(よしの)川の流(ながれ)は早く
候ゆへ鴨は水の上に
住(すむ)ものなれど余(あま)り
早(はや)き所には住ずして
少しよどむ處(ところ)に遊(あそ)
【下段】
慎なく物いひ過(すごす)は親類《割書:共|》中あ
しく成て家 乱(みだる)る物なれば去べし
七には物を盗(ぬすむ)心あるは去此七去は
皆(みな)聖人の教也女は一度 嫁(よめいり)して
其家を出されてはたとひ二度
富貴(ふうき)なる夫にかす《割書:共|》女の道(みち)に
違(たがい)て大なる恥(はぢ)也
【左丁】
【上段】
ぶなり況(いはん)や人間
のはげしき所には
ながらへがたく候
第四(だいし)夫婦(ふうふ)の間(あいだ)高(たかき)も
賎(いやしき)も睦(むつ)まじく候
半【はん(はむ)と読ませる】こそ余所(よそ)の聞え
も心にくう侍(はべ)れ縦(たとひ)
千世(ちよ)を送(おく)り給ふ《割書:共|》
聊(いさゝか)も主(あるじ)に見おと
されぬやうに朝(あさ)夕
嗜(たしなみ)候はゞいよ〳〵
【下段】
一女子は我家 ̄ニ有ては我 父(ふ)母に
専(もつはら)孝を行ふ理(ことはり)也され《割書:共|》夫の
家 ̄ニ行(ゆき)ては専嫜を我親よりも重(をもん)じ
て厚(あつく) 愛(いつくし)み敬(うやまい)孝行を尽(つくす)べし
親の方を重し舅(しうと)の方を軽(かろん)
ずる事なかれ嫜の方の朝夕(あさゆふ)
の見舞(みまい)をかくべからす嫜の方