翻刻
【右丁】
【上段】
第五(だいご)旅路(たひぢ)の帰り
或(あるひ)は酒宴(しゆえん)など有
て草臥(くたびれ)の時は女なが
らも夢(ゆめ)も結(むす)ばず分(わき)
て用心し給ふへし然(さり)
迚(とて)余(あま)りこと〴〵敷やう
なるも如何(いかゞ)候はんや
第六(だいろく)常々(つね〴〵)我(われ)に親(した)
しき人の少し物遠(ものとを)
の様(やう)に候とて此方も
等閑(なほざり)に候半事有
【下段】
疑(うたがは)しき事は夫 ̄ニ問(とふ)て其 下知(げじ) ̄ニ
随(したがふ)べし夫 問(とふ)事有は正(たゞしく)答(ことふ)べし
其 返答(へんとう)疎成(をろそかな)るは無礼(ぶれい)也夫若
腹立 怒(いかる)時は恐(おそれ)て順(したがふ)べし怒あ
らそひて其心に逆(さかふ)へからす女
は夫を以天とす返々(かへす〴〵)にも夫に
逆(さかい)て天のばちをうくべからず
【左丁】
【上段】
間敷(まじき)ことにて候
つらしとて我(われ)さへ
心( こゝろ)忘(わす)れずば然(さり)とて
中(なか)の絶(たえ)やはつべき
とは奇特成(きどくなる)詠哥(よみうた)と
おぼえ候殊更 睦(むつま)じ
き人のよまひごと異(い)
見(けん)など候 半(はん)には
いかにも念頃(ねんごろ)に聞(きゝ)
給ひ善事(よきこと)を実(げに)もと
思ひ悪(あし)き事をば
【下段】
一 兄公(こしうと)女公(こしうとめ)は夫の兄弟(けうだい)なれは敬(うやもふ)
べし夫の親類(しんるい)に謗(そしら)れ憎(にくまる)れは
嫜(しうと〳〵め)の心 ̄ニそむきて我身(わがみ)の為(ため)にも
宜(よろし)からず睦(むつまじく)すれは嫜の心 ̄ニも協(かなふ)
又 嫂(あによめ)を親(したしみ)睦すへし殊更(ことさら)夫の
兄(あに)あによめは厚(あつく)敬(うやもふ)へしわがあ
にあねと同(をな)じくすべし