翻刻
ひわ茶(ちや)といふが鶯(うぐひす)茶古きをもつて
新(あた)らしきもまけをしみのよふなれど
年々(ねん〳〵)歳々(せい〳〵)花(はな)相似(あいにたり)松は常盤(ときは)の色まさ
り替(かは)らぬ春(はる)の御伽(おとぎ)にもと葛飾(かつしか)の
翁(おきな)静観和尚(じやうくわんおせう)の下手談義(へただんき)は近来一(きんらいいち)の
読本(よみほん)なり上手(ぜうず)に下手(へた)と卑下(ひげ)されて
下手がじやうづもあつかましくうぬが
口から上手とはおきやあがれまて此方(このほう)
にて又売ものには花(はな)の春(はる)上手(ぜうず)談義(だんぎ)とぞ題(だい)す
とらの春 通笑述 (印)
附言(ふげん)
通笑子(つうしやうし)が筆(ふで)のすさみ清長子(きよながし)の当世風(とうせいふう)の
画図(ぐわと)とんだいゝのと御子様方(おこさまがた)隅(すみ)からすみ迄
御贔屓(ごひゐき)を松の内より賑(にぎ)やかに御召(おめし)なされて
暮(くれ)の金(かね)といらざることを後に附(ふ)す 文化