翻刻
【右ページ】
さてちかごろみますに
すげかさ【菅笠】をひたいの
うへにかぶりてあるか
しやる【「歩かしやる」…歩くようにしている】があれはしごく
よふごさるむかしは
あみだかさ【「阿弥陀笠」=画面右側の人のように、笠をあおむけかげんにして笠の内側の骨が阿弥陀の光背にみえるようにかぶること。またそのようにかぶった笠。】といふ
かぶりよふ【かぶり様】
ふとゝきせん
ばん【不届き千万】あみた
によらい【阿弥陀如来】は
ごいつたい【御一体】
こんなことに
ごとんじやく【御頓着】は
なさらぬがいまの
しう【衆】はかうまんの
よふでもこゝをひげ
してひた
いのうへゝ
かぶるとは
きついつう
なもので
ごさる
【左ページ】
ちうしんぐらともふし
ますしよにやくしじ
二郎左衛門【薬師寺次郎左衛門】がもふすには
とうせいふうの
なかばおり【長羽織】ぞべら
〳〵とやしらるゝはと 【仮名手本忠臣蔵では「当世風の長羽織。ぞべら〳〵としらるるは」】
いかふ【大層。ひどく。】ながばおりを
しかりました
はてあれは
あじなことが
きにいらなんだの
わしらはながいのが
よふござるこふもり
ばをり【蝙蝠羽織=丈が短く袖が長い羽織】はやすくてなり
ませぬそでもずいぶんおゝきく
たけもながくころものよふで
どふもいへませぬ