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あたり親類の零落をもすくはず人の目をくらまし人を苦
しめて大利をとり一銭の事にも恥をすて義をかくといへとも
後生の為には多くの金銀をおします長崎にて異国人に
なけ金をするの利心におなじうばかゝの貧しく賎しき者迄
も後生を願はゝ心ねしけたるとしれといへり或大名の民
の困窮艱難を不便なる事といはれけれは天下に弐三人と
いはるゝ和尚の言分には彼等過去の宿因にて今生に苦
しめり強く苦しむほと因果をはたて【「て」衍字?】して来世に能所へ
生るゝ也然るに今彼等を不便かり苦身を助け給ふは
因果をはたさせぬれは却て不慈悲也と夫より其大名民あ
たり強く万民乞食の如く成たり又夫より先に天下に一二人
にいはるゝ和尚旦那の馳走おひたゝしく受たる事数十年也其
旦那世にかくれなき悪地頭にて知行大かた亡所と成り民の
妻子歎にしつめり其領内に久しゐて能知なから一言の
いさめもいはすかへりて其泣の泪をあつめたる者大分受たり
人は仏のことくいへとも信せられぬ事といひけるも此因果
の道理にてやいさめさりし此和尚仏なれは涙をあつめもらひ
えようにつかひ費して困民を成仏やさせたる其外題目
たにいへは成仏する念仏たに申せは極楽に往生するといへる
は仏法の中にても昔は邪法也とて叡山より法然も日蓮
も流罪に行ひたれ共邪法時をえて世に大に弘まりたれは
誰ふせく者もなし 武士云かく極悪の仏氏何として天罰