翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

鶯宿雑記. 巻263-264 - 翻刻

鶯宿雑記. 巻263-264 - ページ 105

ページ: 105

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あたり親類の零落をもすくはず人の目をくらまし人を苦 しめて大利をとり一銭の事にも恥をすて義をかくといへとも 後生の為には多くの金銀をおします長崎にて異国人に なけ金をするの利心におなじうばかゝの貧しく賎しき者迄 も後生を願はゝ心ねしけたるとしれといへり或大名の民 の困窮艱難を不便なる事といはれけれは天下に弐三人と いはるゝ和尚の言分には彼等過去の宿因にて今生に苦 しめり強く苦しむほと因果をはたて【「て」衍字?】して来世に能所へ 生るゝ也然るに今彼等を不便かり苦身を助け給ふは 因果をはたさせぬれは却て不慈悲也と夫より其大名民あ たり強く万民乞食の如く成たり又夫より先に天下に一二人 にいはるゝ和尚旦那の馳走おひたゝしく受たる事数十年也其 旦那世にかくれなき悪地頭にて知行大かた亡所と成り民の 妻子歎にしつめり其領内に久しゐて能知なから一言の いさめもいはすかへりて其泣の泪をあつめたる者大分受たり 人は仏のことくいへとも信せられぬ事といひけるも此因果 の道理にてやいさめさりし此和尚仏なれは涙をあつめもらひ えようにつかひ費して困民を成仏やさせたる其外題目 たにいへは成仏する念仏たに申せは極楽に往生するといへる は仏法の中にても昔は邪法也とて叡山より法然も日蓮 も流罪に行ひたれ共邪法時をえて世に大に弘まりたれは 誰ふせく者もなし 武士云かく極悪の仏氏何として天罰