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より流るゝ水最潔し瓢に入て家にかへり姑に与ふるに曰美味に
して酒よりも増れりと夫より日〻に汲てあたへ己も飲けりかくしつゝ
年をへて源丞内帰国し母と妻とを見て驚きなとてかく見
まかふ計若やき給ふやといひけれは有のまゝにかたるを聞て打悦ひ
此水を呑よはひ久しくたもちて皆共に仙境に趣しと也此事天
聴に達し勅使を立玉ひ泉を菊水と号給ひけると也源丞内
か子孫も其親〻に孝行厚かりけるか是も或夜の夢に七旬【七十歳】はかりの
老翁告て云大木の梢に鷲の巣あり其中に宝あり是を汝に
与ふ我は白山権現也といふとみて覚ぬ木に登りみるに告のことく
卵十二を得て後鷲かの梢に来りて又北に飛越て行に赤坂の
大岩に羽を休め文珠(モムズ)といふ処に至て鷲かいふ白山の使也と則
夫より白山に参りけるに夢見し翁顕れま見えて曰永く養老に跡た
れんと心さしあらん輩は養老に来るへしとの玉ひ告玉ふ古郷にかへり卵
をみれは金銀と成てとれとも〳〵尽さりけり則一宇建立して時の天子
に奏聞しける先例に任せ勅使御下向あり老を養し事共思し召合
され養老寺と名付其歳の号も養老と改めさせ給ひける地名を
鷲巣といふ鷲本の栖にかへりし故郡の名とす菊水は高き方に
流れ滝は近く流止りて川下なし皆是不思議のあらはれ也山下《割書:鷲|巣》
に白山権現を勧請し奉り境内の不動寺は当国/生津(ナマツ)といふ処
より鯰に乗て来現よしまをし故鯰を食せし者参詣を免され
す利生あらたにして諸願成就せすといふ事なしと云〻重明他事
なく聞居たるか絶倒して笑て曰今汝かいふ所皆童蒙女児の