翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

鶯宿雑記. 巻263-264 - 翻刻

鶯宿雑記. 巻263-264 - ページ 20

ページ: 20

翻刻

 けれと深きよし〽白浪は岸の岩根にかゝれとも黒ぢの橋の名こそかは  らね《割書:右おの〳〵|藤川記ニ有》此所に一ツの墓あり相伝ふ常盤の前は源義朝の  妾にて義経の母なりしか義朝叛死の後平清盛入道の妾となれり  牛若鞍馬を忍ひ出て奥州に下る故に清盛入道是を憤り  常盤を追捉しかは頼むへき方なくして牛若をしたひ奥州に下るとて  此あたりにて盗賊に殺されしと言伝へ山中ときはといふ此事いつれの文に  も見えす平治物語に常盤清盛に思はれて姫一人設たりしかすさめ  られて後は一条大蔵卿長成の北の方に成て子共あまた出来たりと有  盛衰記に長成の子常盤腹に侍従義成とて在しか判官義経  頼朝と中違て西国に落ける時義成も跡につきて打立しか大物の浦  にてちり〳〵に成 和泉国に落かゝる事あり是をもて思ふに常盤か後に  長成か妻になれることをしらさるもの《割書:中略|》常盤か墓といふなるへし 青墓はたる井赤坂の間にあふはかといふあり〽一夜見し人の情に立かへる心ぞ  やとるあをはかの里或人云此歌大僧正慈円の詠也と六百番歌合に  信定の歌と有可尋之藤川の記に〽契あれは此里人に逢墓の  はかなからすは又も来てみむ云〻所民相伝ふむかし此所繁花の地た  りし時長何かしといふもの美女を抱置旅人を宿らしむを業とす  小栗判官兼氏横山か女照手姫と密通しけるか横山是を憎み毒  酒をすゝめて兼氏を殺し照手を追捉青墓の長照手を買取色  を商はんと欲すれ共亡夫に道をたてゝ請がはず水を汲《割書:其水とて今も|往来南に在》  飯を炊きなと身を謙りてをれり後兼氏蘇生して此所に  来り姫を伴ひ本国に帰ると云照手姫を後に神と崇む結の 【右頁書込み】 《割書:柴足考ニ|此山中村の》 《割書:古墓は往古|常盤駿河守》 《割書:今津辻堂|にて切腹之》 《割書:事太平記|に見ゆ里俗》 《割書:の説論するに|たらすといへ共》 《割書:聊迷を|解のみ》 【左頁書込み】 《割書:兼氏ト云者は|蒲冠者範》 【「ト云」合略仮名】【「蒲冠者」は源範頼】 《割書:頼ノ旗下ニ属|シテ遠州ノ》 《割書:国主タリ|今天龍川ノ|西笠居近江》 《割書:石原村ニ小|栗玄節》 《割書:及近江ニ同|性殆多シ》