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事見あたり聞あたりてかなしく思ひし事度〻也きしかあれ共
田圃の中の一木にのみわつかに其名残れるよりはるかに
まさりて覚ゆるそかし
百八里の古語?堤は謹也洪水をつゝしむの術也其堤を築?て
中に百八里あり里人夜なべに集ひて粟なとを碓に粉
なす細かにして食の足とする也其時歌をうたひしらべを
つれて小夜更るまてめくらし少女に少男の入ましりて添歌
などして楽しむ後隣なる家に行て右の咄して遊ふ事とせり
相互にいふこよひ夕まくれより入かはりてよみ歌一くさり返し
歌二くさりはかり長歌みしか歌取まぜて夫地も動くへしと
うたひつる事の嬉しさよととり〳〵笑を催しぬと語あふよし
此里人の咄しけり此一くさ二くさといふは古しへ一首(ヒトクサ)二 首(クサ)にて里文字は
例の休字ならん玉あられ集に一 歌(ウタ)二 歌(ウタ)とかけるは片歌一家(カタウタノイヘ)
万葉家(ヤマトウタノイヘ)などにとらす去なから本居の翁かいふめること一歌とふ
事も其ゆえよしなきにあらす後にみん人其よきかたをとりてよ
遊婦毛濃神 北美濃の根尾といふ所に宮代有祭神稲荷
大明神土人社の前に拝みて二道の事を決して瑞あり
といへり按に拾芥抄云 夕食歌(ユフケウタ)と書て〽ふけとさやゆふけ
の神に物とへは道行人ようら正(マサ)にせよつげの櫛を持て女
三人辻に立むかひ午の年の女午の日占ふ事也右の歌を三
反吟しその辻に洗米をまき櫛の歯をならす事三度
後より来る人を内人(ウチト)とて答ふるものに定ぬ我か向より来る
【左頁書込み】
《割書:宮代と云は|御屋城也》
《割書:故国ノ司|ヲ何〻ノ》
《割書:守ト云|其守ノ居》
《割書:ヲ城ト云也|百磯城ト》
《割書:云モ皇|御神ノ》
《割書:在所ナリ| 米ヲ打巻ト云コトハ洗米ノ義ナリ 打巻故ナリ》