翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

鶯宿雑記. 巻263-264 - 翻刻

鶯宿雑記. 巻263-264 - ページ 58

ページ: 58

翻刻

かき木に作りたるをも御覧せよ生身の人をも見給へ北狄天 竺南蛮の人には神なし自然の天応也文の字をふみと よむは中のくを略していへりふくむの儀也文字には天地万 物の理をふくむ也此故に其国土の神は霊に人は通なる 所には文字通ひ神不霊に人不通なる所には通はす通す るを人といひふさがるを禽獣といふ北狄南蛮天竺も 人の形有故に大かたは人の心も有やうなれ共実はふさかる所 有て禽獣に近し爰を以て神もなく文字も通はす日本は 東夷の小国なれ共神国とて国土霊に人心通なりもし貢 物さゝけは文字を習し恩もあれは君師の理にて大明にこ そつかふまつるへき也それたに武国にて恐るへき所なけれは 遠路といひ独立して有しに神もなく文字もなき畜生国 の被官とならんとは思はさりき其時武士仰きて見けるに只 人ならぬ御気色なれはひさまついて答て申さくいにしへむくり【むくり-蒙古のこと。】 度〻取かけ侍れとも終に勝ことをえす当社八幡宮の御在 位の御時は三韓迄も随ひ奉り王仁を召て五経をよませ中 国の道まても知し召たりとこそ承り侍れ畜生国のつかはれ 人と成たるためしを聞侍らす心えかたくおはします社家のいふむ かし物語にいひし謀におとされ侍り世の中のつもり能ものゝいふ 日本の国を四ツに分て其一を天竺へ年貢に出すと四分か一は 十二三ヶ国也其積は日本国中の寺領并に寺地寺山は諸旦 那ゟ取入物を合ていふ也社領といへ共仏者かもれは寺領也