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物語には廿余国といへり是は又つもり委し未来を知事たか
はす天下の山林川沢の仏者の為に荒るゝ物を合て廿余
国につもりたり或は新地或は替地抔とて寺地とするを見
れは百姓の命をつなき妻子を養ふ上田畠をとられ屋
敷を追立られ潰して大寺あまた建剰門前とて町家を作り
人に貸寺領の上の知行とす其理屈を聞は上へ年貢を
召上られぬ程にいひ或は寺より年貢を出すといふ其年
貢といふは昔より百姓の有にはあらす年貢をさゝけて其跡にて
こそ妻子を養ひ其身の世はたる家督とはする也如此毎
年〳〵諸国に於て民の家督をとられて流浪する者いか
程といふ事をしらす今時は武士の人〻は百姓をは薪木程にも
思給はす只草やうはら【「いばら」に同じ】の如く思ひぬ民も又上を見る事あた
敵のことし極寒も時有て勢衰へ極暑も時過て涼しく成
ぬ武士の勢おとろへなは百姓の鍬 かきろ(本ノマヽ)にあたり妻子を
とらはれん事をしらす僧は衆生済度の役たる身にて済度
をこそさせすともかく万民を流浪させすせめて人の屋
敷田畠をよきて野山を望めかし民の懸りなるはかゝれ
共仏者の罪たる事を弁へすして上を恨る計也夫王代
にも武家の世にも廿余国の蔵入といふ事はなかりしに天下
主の畿内の地の四倍を天竺へとられては国の衰微の速か成
事尤也武士のいふ天竺へ別に出すにては侍らす日本の内生
たるものゝ用と成侍り其上ありきて見申に大名小名の屋