翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

鶯宿雑記. 巻263-264 - 翻刻

鶯宿雑記. 巻263-264 - ページ 62

ページ: 62

翻刻

るやらん幾百寺といふ数をしらす昔は山寺ならては無りしに法然 親鸞日蓮の三宗出来てより女人成仏の為とて町在家 に軒をならへて寺を建まとへる者はいふに不及迷はぬ者をも 後生願はぬ者は悪人也切支丹也といひおどして老若男女 をまねきよせ其いふ所は皆己か不作法の言訳と銭と りく(本ノマヽ)し となり其次に人を悪道に落し入ぬ少も世中あしくに成侍らは 此無道の出家を誰か養侍らんや後生のおとしも用にたゝし 堂寺は一度焼れたらは建事あらし限なき盗賊にて有へし一 宗〳〵の坊主国主も出来なんか仏者の奢の世を亡さん事 天下の奢を相手にしてかた〳〵は持侍るへし坊主〳〵と合戦して 互に亡ひ侍らむか乗ずれは除ふは天地の理也仏者の算 乗し極侍れは程なく除られんとすゝむ燈火消んとて光増如く 算をせめあくると見えたり其除ひさまに天下の乱て万人の 上か下となり苦むへきか不便也只此侭に能法を立て仏 者も迷惑せす地道に除ひ度事也武士の云然は拙者等 か命の内に何事そ出来侍らむか内〻妻子の足弱を 山中に片付置一人身に成て心の侭に働き名を後世に あくる程の高名いたし度思ひ侍りて年月当社に頭をかた ふけ申也社家云いや〳〵夫は昔の事にてあり今は山中の頼み なき世にて侍る自然の事あらは武士の分は妻子共になき ものと思はれよもし生ても生がひなきはつかしめのみあらむ と思ひ給へ昔は天下の山〻如斯荒さりし故に木曽路なと