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るやらん幾百寺といふ数をしらす昔は山寺ならては無りしに法然
親鸞日蓮の三宗出来てより女人成仏の為とて町在家
に軒をならへて寺を建まとへる者はいふに不及迷はぬ者をも
後生願はぬ者は悪人也切支丹也といひおどして老若男女
をまねきよせ其いふ所は皆己か不作法の言訳と銭と りく(本ノマヽ)し
となり其次に人を悪道に落し入ぬ少も世中あしくに成侍らは
此無道の出家を誰か養侍らんや後生のおとしも用にたゝし
堂寺は一度焼れたらは建事あらし限なき盗賊にて有へし一
宗〳〵の坊主国主も出来なんか仏者の奢の世を亡さん事
天下の奢を相手にしてかた〳〵は持侍るへし坊主〳〵と合戦して
互に亡ひ侍らむか乗ずれは除ふは天地の理也仏者の算
乗し極侍れは程なく除られんとすゝむ燈火消んとて光増如く
算をせめあくると見えたり其除ひさまに天下の乱て万人の
上か下となり苦むへきか不便也只此侭に能法を立て仏
者も迷惑せす地道に除ひ度事也武士の云然は拙者等
か命の内に何事そ出来侍らむか内〻妻子の足弱を
山中に片付置一人身に成て心の侭に働き名を後世に
あくる程の高名いたし度思ひ侍りて年月当社に頭をかた
ふけ申也社家云いや〳〵夫は昔の事にてあり今は山中の頼み
なき世にて侍る自然の事あらは武士の分は妻子共になき
ものと思はれよもし生ても生がひなきはつかしめのみあらむ
と思ひ給へ昔は天下の山〻如斯荒さりし故に木曽路なと