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公儀よりの下知もならて天下の威わかれ夫に付武士も出仕
せぬ者出来天下は位つめに成へし位つめとは上より其分
にして置給はゝ下からも催して上を亡すほとの事もせし
上からは猶以制し給ふ事も成まし然は年〻に天下主は
威落て名計に成へしせめて今か大事の御仕置の時節
なれ共御心付奉らす今十年廿年の間には何共成申まし
今切利支丹を怖き様に思へ共本願寺宗か日蓮宗を
切支丹の様に天下の害に成へき処を御存知被成て御法
度に被成たらは今切支丹にかはり侍るまし少よきものゝ分
は禅宗より愚か成ものは皆二宗より破り侍り頓て天下は
此三宗に片寄侍らん武士云人焼所の穢の事を我等も
心付て神道者に尋て侍れは神道には心の穢を忌也死火【死火シカ-仏語。死を、すべてを焼き尽くす火にたとえた語。】
服なといふ事は心に愁の有は心よる所有故に其よる心
をいまむか為也事物の香の穢は忌ずと申され侍り社家云
それは仏者に落入たる神道者のへか言にて侍り心の外
の穢を忌すは五辛を何として忌侍る哉神前に沈香を【五辛ゴシン-仏語。 五種の辛味や臭みのある野菜。】
炷【たき】て不浄を去とは何として申や風は天地の祓とは何とて
いふや神道に念のつく所をはらふて清むる事もあり
事物の不浄をすいて清むる事も有重服深厚たり【重服ジュウブク-重い喪。父母の喪。】
共慈悲の室には赴くへしと御座候事は仁愛の心には
穢もなしと也不仁無道の者には潔斎も亦なかるへし
只に心とのみいひて物の穢を忌さるにはあらす道理に違ふ