翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

鶯宿雑記. 巻263-264 - 翻刻

鶯宿雑記. 巻263-264 - ページ 73

ページ: 73

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を以積れは今よりは多し諸色の買物も今の半分也き 今も米積にして若党六石小者三石四石ならは奉公人 何程も有へし主人の出す処も昔と替なし然共世上驕りて 入用多く或は家に依て物成もへり行は昔の恪好に切米 遣し置事のならぬも理也又奉公人の切米少くて遣 用たらねは珠数をひき色〳〵の商ひ乞食勧進して奉公 に出ぬも理也民間のくつろきて奉公人なきもの不審は 尤なれ共委しく故を聞はくつろきたるにはあらて世中の風 俗ゆへ成こと明か也又江戸奉公人の物語を聞侍り霜月 極月の寒夜にも昼の八ツ時に腹にもたまらぬ食くひ たる侭にて夜の五ツ時四ツ時迄門に立ば腹中はすき身は 冷わたり手足は覚なし扨も〳〵因果なる生かひ哉と思ふに九ツ 時迄も夜咄あれは唯半夜の内に老も来歟と覚かへす〳〵も もつけなる有様かなかへりなば明日は頭を剃はちをひらかん菰 かふり成共せむと思ひ夫より一里二里有所供してかへりとかくし ていねぬれは八ツ時にも成り鳥の声も聞ゆされ共粥の一口も あつき湯にても飲めといふものもなし凍を暖めよとてたはこ の火入に成共火出す者もなし腹中のひたるさ極り身凍へ其 侭にて打ころひねぬれ共夜の衾や布子の綿あつきも有 かなしにて声も得たてず臥ぬれ共草臥【くたびれ】ても目もあはす漸 つかれてまとろみぬれは宿にてこたつにあたり夜食喰て艱難 もしらぬおとな共か昼いね宵いね迄すれは奉公人か朝寝する