← 前のページ
ページ 74 / 111
次のページ →
翻刻
もの歟とておひおこさる寝てねられぬ侭にも扨も〳〵何たる物
の報ひにて同し人とてなからかゝる身とは成たるそ只死したるか増也
たふれはたふるゝまていかていの乞食成共せんとふつ〳〵倦し果れと
食をくへとてよべは餲えたる侭に食する黒米飯塩汁は甘露
のことし少し身もあたゝまりては夜中の道心も少しは忘其上二月
二日もこねばさも急に思切かたくて一日〳〵と送る也うん【倦】じ〳〵
て二月二日もくれはときくひ経にてもよみいろはの字もつゝけん
と思ふものは心も起らぬ道心おこし出家して身を隠すも
あり口のきゝたる者共は山伏かさう【ら?】すは飴売人形まわし如此の
者諸乞食と成て散〻に成もありよはく成ものゝ病付何事も
不調法成は誠の菰かふりと成もあり能〻無病なる者か何に
成へき覚悟もなき者ならては奉公人と成てはおらす少しもやるかた思
ひつけたる者は毎年〳〵遊民と成て出る事千万人といふ数を知
らす未是ほとも武士の人をつかひて通るはふしき也世中此
侭ならは弥奉公人は少なかるへしかの飢饉年の餲て死する侭
にいか程にて成共奉公したかりたる事なと覚たる人〳〵の其如く
奉公人なきは百姓有付たると思はるゝも有へけれと左様に世中に
飢饉続きては天下は治るものにておはしまさんか武士云飢饉に
金は食とならす米の沢山に成へき様はいかゝ御座候はんや社家
云或曰江戸京大坂大津所〻の御蔵米の虫にならぬ御政道は
かりにて天下の米は余程沢山に可成候御覧せられぬ故にて
こそ御座候へ御米之虫に成て捨る事扶持方取なと諸人の