翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

鶯宿雑記. 巻263-264 - 翻刻

鶯宿雑記. 巻263-264 - ページ 85

ページ: 85

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大国にて作り出したる伽藍を日本の小国に其侭作る事は日本 衰微の妖怪也其上大成ものはかさをとり威をとる物なれは 七堂伽藍の大なるを以て神社の日本の国土に叶たる製を おしけさん事目前に見えたり仏者は神国を仏国に奪はん の謀ニても有へし此国に住なから他国に同心する事は君 をなみし父をなみする也程なく日本は天竺の被官と成へし 今又法然日蓮等の門徒出来て女人成仏の宗旨なれは とて在家町家に近付て寺を作る事初まりける時知る者 あり悔ていふ是より仏法の戒律捨れ出家たる者妻子を 持淫乱をなし鳥魚の肉を食し酒を飲口論争盜の事 をもなすへし然は出家は能身過に成て世中坊主みち〳〵て 沢山にならん無道にして奢極まらは仏法終に亡ひなん其亡ひさまに は坊主の国郡をあらそひ天下を望むの悪行もおこりなんと誠 に山海万里をへたてたれ共其事のたかはさる事符節を合 たるか如し武士云然は今の山城の京に都遷し有し事は 王道衰微の始にてやおはします社家云二三里近く淀の大河 をかゝえ淀は難波の津に通し淀へは桂川かも川の通ひよく又 東には三里隔てゝ水海より通路自由也如斯にて京都に 住人日〻に驕り商人日〻に富て物高直に成り東西南北 より上洛の物財用多遣ひ費して民国窮し都をもの うき事に思へは時節をえて上洛せさる者あり遂に王道の 衰し処也武士云鎌倉江戸の地も同し事にておはしますや