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社家云鎌倉は土地も狭し且いにしへは大廻りの舟なと自由せて
関東ニてはあり物毎倹約朴素成し武士の五畿内住ゐは
弥奢長して天下久しく有かたけれは倹約を以て長久を
なさんか為に鎌倉江戸の住ゐはし給はし也然るに四十年卅年
此かた天下の財用の権柄【けんぺい】いつとなく商人の手にうつりぬ此故ニ
商人天下の事をのみ込大腹中【だいふくちゅう】に成て大廻りの船なと次第に
乗得て自由をなせば川迄もなく江戸の城下に間近く海
舟着て諸国の物を居なから出しぬれは初は沢山ニて下直
にも有物毎自由さに人も多く入込ぬ夫より次第に奢
て手広く用つけたるに物の優は一倍二倍三倍に成り物
により十倍もすれ共其用を止へき事もならす人の用は
水木を第一とするに山林次第に尽ぬれは材木薪は大に高直
になりぬ大身小身共に武士は皆〻すり切はてゝ難義の余り
に取へき処なけれは百姓をしほり取より外の事なし薪には手
くろもなけれ共本荒たるか故に高直也其外の物は多くは
商人の手くろを以て高直也世中からきたとへにはあき物の
三倍するかことしと云伝へたり今は物によりて三倍なといふ
事なし昔通路自由成所に都をたて城を立れは商人富
て士貧しく成といへるは自然の勢ひ也今は是より甚しき事也
近年は天下の金銀財用の権柄はすきと町人の手にくたり
ていか様に取まはさんも侭成事也此初めは受取普請うけ
商ひ入札しめ売かい込といふ事より初りたり天下の諸物