翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

鶯宿雑記. 巻263-264 - 翻刻

鶯宿雑記. 巻263-264 - ページ 89

ページ: 89

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商人の手を放れす武士云近年は大火事にて公儀の金銀多 世中に出候へは金銀沢山にてやすく成たると申説も御座候はゝ 如何社家云此儀もなきにはあらす然共其出たる程はやかてなく なり侍らん其故は唐僧わたりて大勢の弟子の朝夕の菓 子等まて異国より取よせ何のかのとて金銀は異国へわたし ぬ日本よりわたる金銀は朽ぬ物にて彼国の用を足す彼 国より来る物は食費し朽失ぬる計にてとゝまりて用を なすへき物なしかへりて日本の衰微と成事のみ也又薬を 金銀ニて買ても半分より多く虫になし捨て皆売たる よりは利を取分別のみすれ異国へ渡す金銀は三分 にて二は只とらするがことし糸巻物も買込しめ置て 半分は蔵の底の置古しとなして天下の用をなさす皆出したる より利分多謀のみにすれは是も異国より来る物半分 すたりて其金銀は只やるに同しかく成行は日本の金銀は頓 て少く成へし又銀の安く成たるといふ理屈も世中とかくつゝく 間こそあらめ近年の内に一年不作せは米不足して一石 銀百目も其上もすへし其時は銀の安く成たるといふことはり は役に立へからす金銀は食とならし扨又日本の内をめくるとは 言なから海川より上る魚を舟十艘あれは八九艘は打こみ 塩にし或はくさらかし一二艘を江戸へつけて其内を店に かくし大名中名の買物使をきり〳〵まはせなくて不叶振 舞音信なれは言懸次第にかはせ十艘なから江戸へ付たる