翻刻
くわん大きやうくわんの責も是にはよもまさらし
と見るもなか〳〵骨身に通ふる今は此世か崩れ
て仕廻みろく出世の世と成やらん又はならくへ
沉みもするか言もおろかやかたるも涙せつな念
仏となへて見ても何のしるしもあらじ恐しや
昼夜うごきは少もやまず凡七十四日か間親子
兄弟顔見合てともに溜息つき居るはかり愛
津高崎また其外に御領御陣屋籠本衆も思々に
お手当あれと時わ時とて空打曇り雪はちらつく
寒さは増るそとに居られす涙の中に一家親類
より集て大工いらすの堀立小屋に殊に今年は
大悪作で米わ高直諸色は高し夫も前代未聞の事よ
是をつら〳〵考へ見るに士農工商儒仏も神も
道を忘れて利欲にまよひ上下わかたすおご