翻刻
まぬかれす或は山抜崩れ民家を押埋田畑を
損ふ事あけて数へかたし御掛りの御役人方
御出張ありて夫〳〵御取調御手当のあり
ける事おほけれはなか〳〵筆紙に尽し
かたし尚追〻聞伝ふる事とも後編迄に
書入て渡世に伝ふへし
山抜犀川の大河を止むる事前代未聞の
大災とはいひなから 御城向も大破の夥鋪殊
更数日におよふといへとも地震鳴動止まさり
けれは恐れ多くも
殿様御儀御城内桜の馬場に
御出張ましまして数日の間
御意を配らせられ給ふ爰において重き
御家臣を始め惣して御役掛りの面〳〵
桜の馬場左右に軒を連ねて仮役所を
補理ひ是上の急変如何なれはとて万端
此処において御用弁【用事を済ますこと。】
御主君の守護厳重なりけるとそ重き御方
〳〵より下部に至る迄不残御焚出しを
もつて御賄被成下置事とそ古今未曾有の