翻刻
村の長たる者に仰せて人夫を集め出させ
自ら頭を取りて類焼を防き既に炎〳〵と
燃来る処に出向ひ東には中澤堰有西には
大丈夫の蔵あり是究竟の場所なれは
此処におゐて防止むる事なくは類焼を遁る
へからすとて自ら下知して欠廻り〳〵中澤
堰の端なる所の家の柱を切倒し西側は是
松代御領西後町なれとも是迚も居合せたる
者に下知を伝へて終に此処に至りて焼亡の
患をそ防止められける可 敬此勇なくは
人心痛く労るゝがうへに斯なれは防事能わす
して此うへの大災にも可 及也一両日過にし
後押潰したる家へは普請金御手当をそ
被下けるとなん引続て其災難を取調
左之通り被下ける
一《割書:壱軒前|》 金七両弐歩宛 悉潰れたる家へ被下
一《割書:同断|》 金五両宛 半潰之者え被下
一《割書:壱人ニ付|》金壱両宛 圧死人有之者え為回向料金被下
其外難渋之者へ金百疋以上金壱両まて被下候由