← 前のページ
ページ 20 / 104
次のページ →
翻刻
些の賃銭ニて雇ハれ供ニ立程の者ニ而
只一日の主人なれ共若道路二而辱ニあひ
他人ニ打擲事もされなは其者をハ赦す
まし其節ニ至りてハ死生の分別もなく
我一分の相手となすニ至る是自然風土に
勇気を備へたれは也方今曻平なれば
安逸怠惰に流れ身體して柔弱なれとも
天性固有の勇氣決て亡ふへきの理なし
其勇氣を引立士氣を震起せは戦国
の士に劣るまし百人の中膽力勇壮
成もの十人是有其士を挙け用る時は
残り九十人の勇氣ハ引立へし勇壮成もの稀
なりと云て怯者同様ニ取扱なハ邂逅有
志の士は望を喪ひ中ニ死に至るとも怯弱
成ものと列はなすましと云族も有ぬ
へし日本魂有士の志を抽き持前ニ備り
たる勇気を撓ませ西夷の陣隊を学ハ
何事そや知己而知彼百戦而危からずと
兵書ニも有之とも己を知り彼を知るは
何の為そや敵の備立を知り是を破る
へき手段をなす事也敵の陣法を学ひ
敵と同し様成方略をなすニハ非さる也彼は
其法を精熟し屡実地ニ越たる兵と同
法にて不鍛錬成兵卒と戦闘して勝
へしや勝ましきや三才の幼児といへ共