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鐘は除くへしなと細かなる触は下へハ届か
ぬもの也頑愚なるもの共旦那寺の本尊迄も
打碎かるへしと思うふハ必定なり
領主地頭も自身領分知行所へ行事もあらす
家来手代等ニても遣ハすか又ハ寺社奉行の
云渡ニて僧を呼出すか地頭より名主庄屋
を呼出し鐘の員数ニ而も改るより外すべき
事なし其時ハ百姓は元より寺僧も鐘の
数を少く云立相應の賄ニ而も贈りなば
家来手代共の多くの中ニハ手の内ニ而差
繰いか様にも増減なるへきなり民心動揺し
罪人も夥しく出来なすへき事眼前也
一方人之外夷四方ニ充満し毫末の隙あらば
打入へきと窺窬なす時也此節は民心を鎮
静し士を養ひ急々應するの策を第一と
なすへき時也去なから寺院ニより鐘を献す
へしと願出るは格別の事京都ゟ仰出され
しとて其儘触出すハ武将の位に然さる也
時所位ともに取亡ひ人の真似さへすれハ良
事と思へるハ何事成哉天下を以て己か任
となす人共故萬事決断なし去とて只も
居られず国家の大事を捨措にし人の議論を
恐れ是ニては當分人も合意すへきと法
令数々ニ相成百事人の害を防く手段斗二而
一分の決断一ツもなく其中には何れとか成へ
しと始終人斗當てニなし所謂町内送と
云もの有て我門前ニさへ送り出せは先ニ而者