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翻刻
頓と一切分らぬ夫人ハ萬物の霊とて天公
を尊ふ事は孔子の家語にも謂し三百
六十の内長者と云て智恵才覚あり賢ひ
ものハないと云か此海中へ庭の居石を
見るやうに御要害の御臺場をこしらへて大
そふな御金を入れて萬一異国船か来て
軍を仕懸たらバ打拂ふための御要害じや
そふなりやアちと不運ものじや都而か様の
所へ御備の陣取をするは死地といふて
軍立の備には余り好まぬ陣取じや其
譯は此御臺場へ味方から自由二續て
勢のうしろ備と云ものかなく異国の奴原
を一番に打拂ふて仕舞ならよけれとも
異国の船の来るといふハ春か夏かの間
であろふ軍法にも春は東を討取らず
夏は南を征さずと新田義貞ハ北国を
征さんと終に討死し唐土漢の高祖は
冬北国の匈奴といふ夷を責めて都而
利を失ひ大ニ敗北して夷ともに侮られ所々
大ニ悩まされて難義をする是らハ畢
竟天の時を考へすして敗北せしなり
此御臺場も夫々同し春秋ハ多く東風