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翻刻
其虚をねらひて兼て用意の押送り
船に水主拾人に若手血気の勇士弐拾
人程にて乗込せ得もの長柄槍長刀
熊手打鍵【鎌ヵ】の長道具に鉄砲をうち
かけて程よく飛込無二無三に血気
盛んの人透を伺ひ切倒す工夫をなし
一艘の船を乗り取時は惣軍勝事に
なるもの也かよふな事ハ皆大将の心中に
有事故ニ都而大将は始斗をいふ
事を第一にして五事七斗と云兵書
の意を知らねバ中々数多の人を
指揮して合戦ハ出来ぬものじやとそ
蛤貝の其始斗といふ事ハとふ云事じや
螺貝始斗とハ先合戦の始ると敵味
方の目算する事敵の人数と味方の
人数と見くらべる敵の大将の器量を
計敵味方の剛臆をくらべ又戦陣
の藝術砲術の目算を考へ夫を五事と
いふて一番に道二番に天三番に地
四番に将五番に法と此五ツの事を
大将の胸にたヽんで諸事を指揮
するものじや先第一大将はハ萬卒の心