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長屋に住居せる中に其頃初のほりの若
ものありしをもろ人の日頃打より噺せしか
二日の夜ハいといたふさるかたく酒のミにまか
らんとかのわかもの只ひとりのこしおき
吉原に行たりしかは残りなく死失るとなん
豊州ハ僅五萬石の御家なるに馬十六疋人百
七十二人しにうせぬ 公へは七十六人と訴
奉りしと其国の人荻野錦橘かたりぬ
其他族もとの人々には佐藤千根野本郷
金澤酒井本間半井なとミな燒失せ
土岐といへるハ火をまのかれたりに十七人
死失しと其家の士森田市左衛門より聞ぬ
燒ぬ御家さらんかヽりせはまして燒たる
御方ゝの御家をやいつれの御家にかありけん
あるしの殿ハ先のかれいて玉ひしかと内君
より男子四人瓦の下にうつもれ玉ひしかハ
引返し下部とも諸共に力の限りはたら
きて二人ハ援出し玉ひし其間に下ゟ
火ほとはしりいて父上ハいつこ母上ハいかに
し玉へしあらあつやとおめきさけふ聲し
つるを救もあへす燒りしなひ玉ひしとかや
その父君の御心の内いかなりけんよそに聞
たに涙せきあへぬものを
小川町より東のかたハ駿河臺のミさるとも