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ためかつしまに下より焰ほとはしり出し程に
とても死んするいのちなれハと指違ふるも
あり腹切るもあり総て十八人しにうせ幸
に火薬に火はうつらさりしかと御やしき
ものまて数を尽して死うせたりしよし
黒川一郎の父は酒井家の物主にて其
夜うけ玉ハりつる砲臺にありしか會津
の御家にてうけ玉ハれるところと隣けれハ
救ひ玉へてよと人のきくにより船出し
つれと数ある臺場のその中に會津の
御家のハ初て築立る処なれハ小屋の上も
一尺の板もてふきそが上に石炭もて六寸
斗にてぬりかため其上を二重ぬりにこめ
たるなれハ戸も窓も打やふるへくもなくて
中なる人々のあらあつやさらハ腹切んなと云
こゑの外に聞へけれと助くへきすへもあら
さるしまに炎立藪しほとにもし火薬に
火うつらハひとりもいきのこるものハあらしと
船漕かへしけるか今宵ハ常に替りて
潮ミな乾き辛くしておのか持場迄帰しか
津波やこんと夜ひとよ安き心もあらさりし
とものかたりしとて一郎のおのれに語り
候き又芝の神明前に岡田屋とて今
昔しの文ひさく家ありしかそがぬりこめの