翻刻
是(これ)は生(き)砂(さ)糖(たう)のまゝ塵(ちり)をふるひ取(とり)て小(こ)麦(むぎ)の粉(こ)を水(みづ)
にて程(ほど)よくゆるめ玉子を入て三品とも一所にして
とくとかきまはし扨(さて)かすてら鍋(なべ)の中(なか)へ厚(あつ)紙(かみ)にて文(ぶん)
庫(こ)を拵(こしら)へ入(いれ)子(こ)にして置(おき)その中へ種(たね)をあけて鍋(なべ)の友(とも)
蓋(ぶた)をして其(その)蓋(ふた)の上(うへ)へ火(ひ)をのせて焼(やく)なり火(ひ)加(か)減(げん)は
上(うへ)の火(ひ)が七分下の火が三分との定(さだめ)なり上の火なる
たけ強(つよ)くして下の火はよわくする事なりとくと
中まで火が通(とほ)りて焼(やけ)る間(あひだ)は常(つね)の線(せん)香(かう)一本半ほど
たつあひだなり線(せん)香(かう)を立(たゝ)てはかるべし
○小(を)倉(ぐら)野(の)
一 大(だい)納言(なごん)赤小豆(あづき)一升をよく煮(に)揚(あげ)なるたけ丸(まる)粒(つぶ)のくづ
れぬやうに扱(あつか)ひ右の分(ぶん)量(りやう)に唐中三盆砂糖《割書:右はせんじ|煮つめ置》
《割書:たる|なり》壱貫目を入外に丸粒のまゝ煮(に)置(おき)たるあづきを
入てゆるやかにかきまはし暫(しばら)く煮(に)染(しめ)て又火をおろ
して漬(つけ)置(おく)なりそれより冷(ひえ)たる時/篩(すゐ)斗(のう)へあげおき
砂糖のゆるみ垂(たれ)たる時に求(ぎう)肥(ひ)を少(ちいさ)く切(きり)て上(じやう)餡(あん)にて
くるみ一寸四方/位(くらゐ)にまるめ兼(かね)て煮(に)あげたる丸(まる)粒(つぶ)
の大(だい)納言(なごん)赤小豆(あづき)を上へ一/側(かは)つけて鹿(か)の子(こ)餅(もち)の如(ごとく)
に製(せい)するなり
○紫(むらさき)きんとん