翻刻
爰(こゝ)に此(この)草(さう)紙(し)は。世(よ)に知(し)られたる
美(び)菓(くわ)の根(こん)元(げん)船(ふな)橋(ばし)が手(しゆ)製(せい)の
集(しふ)冊(さつ)なる乎。手(て)土産(みやげ)の如(ごと)くに
袂(たもと)より取(とり)出(いだ)せしは。当(たう)時(じ)下(げ)
戸(こ)の群(むれ)になられたる。甘(かん)泉(せん)堂(だう)の
主人(あるじ)なり。菓子(くわし)の甘(あまき)も名(な)に符(ふ)合(がふ)す
とて予(よ)に一(いち)言(ごん)を乞(こは)る。予(よ)原(もと)来(より)相(あひ)識(しれ)
る船(ふな)橋(ばし)が著(ちよ)述(じゆつ)といひ。茶(ちや)に因(ちなみ)有(あれ)
れば不辞(じせず)して漫(みだり)に題(だい)す
庚子中秋 《割書:玉池隠者|》川上渭白
松本正裕書【落款墨印】菫斉