翻刻
【右丁】
○煎(せん)じ詰(つめ)たる砂(さ)糖(とう)を柄杓(ひしゃく)一/杯(ばい)にて
目(め)方(かた)何(なに)程(ほと)とかけわけ置(おき)て
たとへば百匁入ものならば半(はん)分(ぶん)
にて五拾匁と定(さだ)めおき
其(その)度(たび)に計(はかり)にかけるも
わづらはしければその
柄杓(ひしゃく)にて分(ぶん)量(りやう)を
きはむべし
○赤小豆(あづき)の漉(こし)粉(こ)其(その)
外(ほか)の物(もの)とても亦(また)しかり
丼(どんぶり)蓋(ふた)物(もの)やうの器(うつは)にて
一/杯(ばい)目(め)方(かた)何(なに)ほどゝかねて
はかりにかけ置(おき)一/杯(ばい)二/杯(はい)にて
分(ぶん)量(りやう)を定(さだ)むべし
【右丁絵図内】
砂糖柄杓
赤小豆(あづき)漉(こし)粉(こ)
しめ桶(をけ)
煎砂糖唐三盆
煎砂糖唐雪
砂(さ)糖(とう)各(おの〳〵)煎(せん)じ置(おく)也
【左丁】
江戸流行菓子話船橋凡例
一 此(この)書(しよ)は原(もと)来(より)菓(くわ)子(し)商(しやう)売(ばい)する人(ひと)に見するにはあらず
素人(しろうと)の菓(くわ)子(し)を好(す)ける諸(しよ)君(くん)慰(なぐさみ)に製(せい)せんとするとき
爰(こゝ)にしるせる分(ぶん)量(りやう)を以(もつ)て成(なし)給はゞ過(くわ)不(ふ)及(ぎう)なかるべし
一 菓(くわ)子(し)を製(せい)するにはさま〴〵の道(だう)具(ぐ)も多(おほ)く入(いり)用(よう)なれと
慰(なぐさみ)には何処(いづく)の家(いへ)にも在(ある)ものを見(み)斗(はから)ひて用(もち)ふるも亦(また)可(か)也
かすてら鍋(なべ)とて別(べつ)にはあれども少しづゝ拵(こしらへ)るには蓋(ふた)のあ
る玉子の焼(やき)なべにても出(で)来(き)るものなり
一 茶(ちや)席(せき)の口(くち)取(とり)には外(ほか)より買(かひ)求(もと)めたる品(しな)より主(しゆ)人(じん)自(みづか)ら
製(せい)したるは其(その)手(て)際(ぎは)はともかくも饗応(もてなし)の一入(ひとしほ)厚(あつ)く聞(きこ)えて