翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

出雲紀行. 20 - 翻刻

出雲紀行. 20 - ページ 10

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しを秋八月二十五日夜四つ時ゟ暁七つ時まての大風に 本牧の陣屋あまた建並へたるか一棟も残らすたふれ 潰れ八王子の山鼻二つ吹とはし牛込浦横二十間計 長さ百二十間はかりの浜建家ともになくなれり 又其夜強雨ふれりと思ひしは一ノ谷より三ノ谷まての 高岸大浪打越て三町計り隔たれる陣屋にうち こめる也けり海面火の玉飛行せりとのみ見しを 後おもへはうしほの飛散し也けり如斯てやう〳〵 風をさまれる暁ころ江戸鎌倉の方にあたりて 大に火の手見ゆ此時為泰は病床にありしを人に 助けられてたふれかゝりし陣屋をからうしてのかれ出て 山にのほらんとする時三度まて吹たをされぬやう〳〵 這のほりて木かやに取つき居てあはれ風の為に命せ ん事本意なしと心中に杵築大神守らせ給へと いのる外なかりしにみな人も十死を極めしと見へて 或は南無阿弥陀仏或は南無妙法蓮華経なと はゝかる所もなく大声あけて唱ふる事かしましき はかりなりき此外声立さるも各おのか向々信心の 神仏いのれりとは見ゆれともそは耳に聞さりけり 扨夜明て見るに陣地建物吹飛し踏所もなかりけり