翻刻
落て五つ計り割たりとそ此夜僕和太郎丈に出て
かへりて申様北堀市中のものみな家を明けて堀は
たに屏風立めくらし其上渋紙もて屋根として
夜明すへしといひ合りとそ
七日入江真幸地震見舞に参りて外中原には門たふれ
塀覆ころひたるを見末次社の宝燈寺町辺の石塔みな
ころへりといふけふも幾たひとなく震ふるふ
八日朝ゆるき強かりしほとに老母我居間口迄参給ひて扨々
世の中余りどうよく成事になりて万民の苦しみ爰にてさへ
ケ様之事定て江戸は思ひやられぬ殿様いかゝ御凌遊はす事やと
そのたまへる為泰もそも此度の始より心付て十八年以前
の事思はれぬと答はへりきけふも幾度となくなゐふる
九日夜明ころと昼と夕方となゐふる
十日朝飯後地震ふる今日終日曇天夜又ふる扨和太郎
朝丈に出て帰りて言やう五人とか打首有といふ
今日杵築ゟ人参りて彼地の地震はしめて委敷聞り
官三郎より遣したる書状左之通
余寒退兼候処被御揃益御機嫌能可被為御座奉賀候
随而私方無異罷在候御安意可被下候然は先達て北嶋殿
御火災御見舞之品三度便りに御送り被下慥に献上仕置候