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コレクション: コレクション3

種痘活人十全辯 - 翻刻

種痘活人十全辯 - ページ 8

ページ: 8

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ものは一人もなし。実に活人十全の良法なり。然れ共 囂々(けう〳〵)【左ルビ「うるさし」】として誹謗(ひはう)【左ルビ「そしる」】する者の多きは。人情世態(にんじやうせいたい)【左ルビ「よのありさま」】の常にし て怪(あやし)むに足らず。 本邦(わがくに)には限らす阿蘭陀(おらんだ)及び唐山(から) にても種痘を唱(とな)へ始(はじ)めたる頃(ころ)は。誹謗(ひはう)する者多く。種 痘にて死せし者。此(こゝに)も彼(かしこ)にもありと云ひ。或は後に再 感して死せりと云ひ。根もなき事を流言せり。然れ共 邪は正(せい)にかたずして。種痘 盛(さかん)に行れ。流言は自然に止 みたると阿蘭陀の書並に唐山(から)の書に見へたり。余天 保十三年 壬寅(みづのえとら)の冬。江戸より我常陸に帰り種痘する に。亦 誹謗(ひはう)【左ルビ「そしり」】排斥(はいせき)【左ルビ「しりぞける」】者多くして。再感する者ありと云ひ。亦 死せしものありと云 流(ふらす)ども。細(こまか)に捜索(ぎんみ)するに。再感せ しものは一人もなし。再感のなき事は。五百年来 昔賢(せきけん) 先哲(せんてつ)の歴験(れきけん)して決定(けつじやう)したる事にて。今 弁(べん)するに及は ぬことなれ共。今一言にて其 疑(うたがい)を解(と)くへき事あり。試(こゝろみ) に自然痘(はやりはうそう)を患(うれ)ひたる人へ種痘するに。決(けつ)して伝染(でんせん)せ ず。又種痘のすみたる人へ再び種痘するに。決して伝 染せず。此一事にて再感のなき理を知るに足れり。此 迄種痘したる六百人は姑(しはら)く置(おき)て余か第五男初生の 時。種痘を施し。今年七歳になり。其間に痘瘡 四度(よたび)行は れたれ共再感せず。若し一人も再感したる者あらば。