翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 14

ページ: 14

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娘 幸(さいわひ)にたへぬ思ひを文にしたゝめ人していわせけ けれどそのふしは五平次にふかく互(たがひ)に情(なさけ)だちし砌(みぎり) なりけれはおさ〳〵返事もなく伝蔵は恋(こひ)わびて さらに外(ほかの)心(こゝろ)もなく迷(まよ)ひ果(はて)なんを人づてならて一 言(ごん) の返しをだにと度々(たび〳〵)いひおこせけれはお幸(さい)もさす がにあはれと思ひていとうきたる事とぞんし取りて 御かへしも申さで今 更(さら)はづかしふ候へ共わが身事 五平次殿にふかく思はれ候へはいか程にふかふ思召被下 ても人の手前 不義(ふぎ)の悪名(あくみやう)わが身はともかくもそ れさまの御 為(ため)いかゞに候まゝ思召 止(とま)り候へは 彼(か)の人は 妻(さい)もあり外(ほか)に思ひものあまた候へはさのみ行末(ゆくすへ)のとげ なんとも思はれず若(もし)真実(しんじつ)の御心ざしもましまさば その時(とき)ぞともかくも御心にまかせさふらはんといと情(なさけ) ふかくいひ送(おく)りけれは伝蔵は露(つゆ)のかことも彼(か)の人の 方よりとあるはうれしく披(ひら)き見ていとゞ思ひにこがれ ぬれど此返しことはりにも又あわれなれはもとより実(じつ) 体(てい)なるうまれゆへさのみうらみとも思はずことはりに くれて其の後は文してもいはず心うつくしく折々 問(とひ) 来(き)てもさのみうとみたる風情(ふせい)にもならて人目のひま ある時はよそながら情(なさけ)ばみていとあはれにて年月(ねんげつ)を