翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 30

ページ: 30

翻刻

ぬ扨(さて)相番(あいはん)十余人ありけるを或日(あるひ)まねきてしか〳〵 のよし語(かた)りしばらく病気(びやうき)と称(しやう)して勤仕(きんし)を止(や)め たきむね談(だん)じけれは何れも勇気(ゆうき)の人々なれは評(ひやう) 義(ぎ)取々にて今宵(こよひ)は何分 伽(とぎ)してその化物(はけもの)を引捕(ひつとらへ) んなどひきけれはさのへもん達(たつて)る?断?いへとも聞(きゝ)入ず【達(たつて)の頼(たのみと)いへとも?】 いづれも夜に入を待(まち)ゐたりしに未(いまだ)暮(くれ)ぬうちより 山伏出たりしをなみゐし人々一同ににきつれ我 討(うち) 取らんとさはぎたちしにうては消(きへ)うせひらけは あらはれまぼろしのことくなれは有合(ありあふ)人々 詮方(せんかた) なく終夜(よもすがら)たゞ刀を抜(ぬい)て切はらふのみさらに仕(し) いでたる事もなくて夜は明ぬ人々も興(けう)をさまし て帰りそれより家中の諸士(しよし)毎夜(よこと)に集(あつま)りてきり とめんくみとめんとすれと叶(かな)はす佐の右衛門 敢(あへ) て手もさへずかゝりし程に年もくれて春に至(いたり) て死霊(しれう)は昼(ひる)も出けれは今は病気(びやうき)とて引 込(こみ) 昼となく夜(よ)となく山伏と向(むか)ひゐたり人々 訪(とむ) らひ来て加 持(ぢ)などし給へと諌(いさむ)れと佐の右衛門 さらに聞入ず月日ふるに随ひて山伏はさのへ もんの影(かげ)のことくつきまとひけれど佐の右衛門は更(さら) に屈(くつ)せず大きなる家に昼夜(ちうや)山伏とむかひ